不動産取引4年ぶり減 昨年度4兆円、海外勢慎重

from:カテゴリーなし|2016.4.18

2016/4/12付日本経済新聞 夕刊

 活発だった国内の不動産取引に一服感が出ている。2015年度の不動産取引額は前の年度に比べ23%減の4兆896億円と、4年ぶりに減った。海外ファンドなどが様子見姿勢を強めているためだ。国内景気に先行き不透明感が漂うなか、不動産がもたらす将来の収益性を巡り強弱感が交錯している。

 みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所が上場企業や不動産投資信託(REIT)の公表値などを基に集計した。15年度は取引件数も19%減の1014件と、4年ぶりに減少した。慎重姿勢の目立ったのが外国人だ。地価などは高値圏にあるが、不動産の実需を映す賃料はリーマン・ショック前の水準まで戻っていない。テナント企業が景気を慎重に見ている。

 賃料を不動産価格で割った利回りは、東京都心の大型優良物件でも3%程度にとどまる。5%前後を期待する海外投資ファンドの目線に及ばない。外国人の不動産取引額は15年度に5431億円と半減。取引件数も29件と、前の年度の97件から急減した。不動産の売り手が強気姿勢を維持していることも、取引の減少につながっている。