不動産融資 26年ぶり最高 15年10.6兆円、緩和マネー動く

from:カテゴリーなし|2016.4.4

2016/2/21 日本経済新聞
 
銀行による不動産業向けの新規貸し出しが2015年にバブル期を超え、26年ぶりに過去最高となった。低金利を背景に住宅やオフィスビルの需要が底堅く、日銀の異次元緩和でマネーが不動産市場に流れ込んでいる。地価の急騰や取引量の急拡大という過熱感はまだないが、マイナス金利政策などの刺激策が長引けば局所的にバブルを生み出す懸念もある。

 日銀によると、15年の不動産業向け新規貸し出しは前年比6.1%増の10兆6730億円。日銀が量的・質的金融緩和に踏み切った後の3年で3割増えた。融資残高でみても、15年末は65兆7102億円と18年ぶりに過去最高を更新した。国内銀行による融資全体の14%を占めている。

 前回のピークは不動産バブルだった89年の10兆4419億円で、この際は地価の急騰を伴って融資額が3年で倍増した。大蔵省(現財務省)は90年に不動産融資の総量規制に踏み切り、バブル崩壊の引き金の一つとなった経緯がある。15年は公示地価(全国・全用途)が前年比で0.3%下落。マネーの流入で押し上げられているのは三大都市圏などにとどまる。

 今回は「不動産投資信託(REIT)など不動産ファンド向け融資が特に伸びている」(メガバンク)。REITは収益性を見極めて都市部のオフィスビルや商業施設などに投資しており、値上がり期待だけであらゆる投資家が不動産に資金を回したバブル期とは異なる。銀行融資の拡大や日銀による購入でREITの資金調達環境は改善しており、REITの保有不動産は1月現在で約14兆円と3年で1.5倍になった。

 銀行の融資は不動産会社を経由してマンション市場にも流入している。外国人や富裕層による節税や投資目的の購入増などがマンション販売を押し上げている。首都圏では15年の1戸あたりの平均価格が5518万円と91年に次ぐ高値だ。マンション事業が好調だった住友不動産の連結有利子負債は15年末に3兆1318億円と1年で約1400億円増えた。

 15年後半には価格の割高感からマンションなどの需要にやや陰りが出ていたが、日銀が1月にマイナス金利政策を打ち出したことでREIT価格が急上昇するなど不動産市場は再び活性化しそうだ。「運用難の銀行は不動産向けの融資を再び拡大させざるを得ない」(マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリスト)

 個人向けでも三菱東京UFJ銀行などメガ銀が住宅ローン金利の引き下げ競争を始めた。住宅ローンの融資残高は15年末に117兆6760億円と過去最高を更新しており、さらに拡大する公算が大きい。

 マイナス金利を導入したデンマークやスウェーデンでは不動産価格が大きく上昇した。日本でも景気回復が遅れて大規模な金融緩和が長引けば、不動産への資金集中が将来の価格下落リスクを高める懸念がある。